鵺のなく頃に

アニメ・ゲーム・イベント・野球の感想を気ままに書き綴ります。

9-nine- 感想

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9-nine-、クリアしました。めっちゃ面白かったです。
4月に発売したコンプリートパッケージから始めて、GWをはさんで約1ヶ月、途中で飽きたりダレたりすることなく読み進められました。
シナリオも面白かったし日常シーンも楽しかったし、各ヒロインの担当ルートの中で次のルートの伏線やヒロインの秘密を垣間見せてきて続きが気になるような展開になっていたのがとても良かったです。

全年齢版ということで元々の4作品にあったHシーンが飛ばされたのはもったいない気持ちもあったけど、実際に遊んでみると途中でテンポが悪くなって手が止まることが無くて案外良かった。他のゲームでもシーンは飛ばしがちなので、最初から無いものだと割り切っていたら意外と悪くないなって。

ガッツリネタバレ有りで感想書きます。

 

1章 九條都

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 EDの歌詞にプロローグってあるくらいなので、9-nine-という作品のプロローグでしたね。都のかわいさは十分に伝わってきたけど、物語としては全然序章で印象に残るシーンはなかったかな。ただ、今回追加された終章での補完で個人的には満足しました。それについては終章の感想で。

 

2章 新海天

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 2章からシナリオが一気に面白かったです。天のかわいさもあるんですけどね。種﨑敦美マジパネェ。
 ヒロインの存在が消えてみんなに忘れ去られてしまう展開は最近だと青ブタとかアイこめとかでもあったし、けっこうよくあるパターンだけどなかなか心に来ますね。選択肢は普通に間違えてバッドエンドに直行しました。あんなの天の願いを叶える選択肢を選ぶしかないだろ~~~。でも言われてみればその通りだなって納得。
 普段の翔と軽口を叩きあっている天も良いけど、お兄ちゃん大好きっ子になっている天もかわいすぎる。会話中の声のトーンも変わり様でも笑うし、好かれる要素しかないですねこの娘は。

 

3章 香坂春風

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春風先輩の印象が見事に変わりました。もちろん良い方向に。年上のお姉さんキャラってあんまり惹かれないんですけど、春風先輩はポンコツキャラの素の性格と翔をもてあそぶ女王様の性格が良いバランスで成り立っていて好きになりました。自分の欲望に忠実なオタクな女の子、いいじゃないですか、かわいいじゃないですか。
シナリオも王道な流れでいったら作中で一番好きかもでした。これまで敵対したり曖昧な立場だったりよくわからないポジションだった春風先輩と手を組んでパッケージヒロイン4人が勢揃いして、さあ最終決戦だとなったらやっぱりイーリスが黒幕で。そしたらそれも踏まえて与一や連夜も味方に付けて春風先輩の覚醒も起きてひとまずはイーリスを抑えることに成功して。敵対していた相手が味方をしてくれる展開は定番っちゃ定番だけどやっぱり良いっすね。
春風ルートで遂に希亜の素の顔が見えてきて、4章の期待もどんどん膨らみました。

 

4章 結城希亜

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4章はもう感想が多すぎて多すぎて何から書けばいいのか。
とりあえず希亜がかわいすぎてもう。これまで見せていたクールぶった仮面の裏に秘めていた甘えん坊の顔のギャップがねえ・・・もうねえ・・・たまらんのですよねえ・・・。自分が女の子と見られていると気付いていない時の無防備な姿から、気付いた後の積極的にアプローチをかけまくる姿とかねえ、ホントかわいいじゃないですか。

だからこそ、あのED途中の演出から始まる一連の流れの絶望感がヤバすぎだった。本当にどうやって解決するのか先が見えなくて読み進めるのが苦しいくらいだった。
それまでの話の流れがあまりにも淡々としていてこれで本当に終わるの?という疑問や不安はあったなかでの1回目のEDの演出はやっぱりかーという気持ちとこう来たかーという気持ちが半々でした。与一との物理的な殺し合いを始めたあたりから胸が締め付けられるように苦しくなって、ループ直後にヒロイン皆殺しからの希亜が部屋に置かれているシーンはもうねえ・・・。本当に辛かった。それを乗り越えての最終決戦は最高に熱かった。あの世界に本当の希亜たちはもういないわけで、それでも他の枝の仲間たちのために戦い続ける翔はかっこよさと悲しさに溢れていて。この枝があるからこそED後の平和な日常が紡がれていると思うとなんともいえない気持ちになりますね。

 

新章

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この手の作品って一番最初に仕事を終えたヒロインのルートって秘密がたくさん残される不遇なポジションを受けることが多いので、こうやって新章で伏線を回収するというか救済するやり方は上手だなと感じました。しかもすべての記憶を引き継いだ翔と与一にアップデートされた状態で、与一の記憶を奪った都もそれを把握して別の選択をするという流れは秀逸だなと。9-nine-という物語の最初と最後をきれいに結びつけたなあと思います。・・・ハッ、これがメビウスの輪、輪廻転生のメビウスリングだったのでは!?(多分違う)
各ヒロインルートのエピローグも良かったです。幸せなエンディングを迎えたあとのエピローグを見るのが大好き人間の僕にとっては最高の補完要素でした。希亜のコスプレかわいすぎるでしょ・・・。あと翔の記憶を引き継いだ各ヒロインが他の枝で自分以外の娘と付き合っているのを知って嫉妬する流れは非常に良いものです・・・。某恋愛強者の実況を見てたら嫉妬するヒロインも良いなあってなってしまった。実妹の天とも結ばれる枝があるのを知るのはけっこう気まずいよなあって。

 

その他感想

名作になるにはメインキャラクターだけじゃなくてサブキャラクターも際立っていなきゃいけないという持論があるんですけど、今作はそれに漏れず光り輝いていましたね。与一も連夜もゴーストも沙月先生も良い味がありました。最初は杉田さんの連夜に違和感バリバリだったけど、途中から連夜の性格とか喋り方とか知ったらこれもうベストマッチでは?と感じるように。ゴーストの荒くれ者の口調とかレナのなんだかんだ言いながら翔を手助けするところとか沙月先生のダルそうな口調とか好き。

 

1ヶ月で遊んだ自分ですら心に残る作品になったのに、4~5年もの歳月をかけてこの物語を追い続けてきた人の思いは計り知れないだろうなあと少し羨ましく思った次第。この後の展開がどうなるかは分からないけれど、これからは僕も付いていくと思います。

KSL 2021

『KSL online 2021 ~Kaginado~』に現地参加してきました。初参戦です。

key.visualarts.gr.jp

セットリスト

感想

 僕はkey作品についてはアニメは全部見ているもののゲームまで遊んでいるものはサマポケだけでKSLも初参戦だったので、歴戦の鍵っ子と比べたら今回のライブへの感想は薄いだろうなと思いますが、keyの思考の音楽を堪能できた素晴らしいライブでした。
 コロナ禍での開催ということで声出し禁止の着席ライブでしたが、ゆったりとしんみりと落ち着いて歌に酔いしれることが出来たのは、これはこれで良い体験でした。

 僕が今回参加した理由はSummer Pocketsの音楽を聴くためで、これに関してはほぼほぼ目的を達成できました。
 特に鈴木このみさんの「アルカテイル」「アスタロア」、YURiKAさんの「青き此方」「夜奏花」を聴けて満足です。「Lasting Moment」は以前のライブツアーで、「サマーテイル」は昨年の京プレで回収できていたので、残りのメイン曲を今回のライブで一度に聴くことが出来てもう思い残すことがないです。嘘です、ポケットをふくらませてをまだ聴いてないです。サマポケアニメ化してイベント開催してライブやるまで展開が続かないと厳しいかなあ・・・。贅沢を言うなら夏の砂時計を聴きたかった。さらに贅沢を言うならRewrite10周年に絡めてRewrite楽曲も聴きたかった。ただ、これに関してはコロナの状況で開催した今回のライブは時間を長引かせない、できれば2時間以内に収めたいとの意向があったようなので、一人あたりの曲数も少なめになっていたかも。おのれ、コロナ、死すべし。

 サマポケ以外だとやなぎなぎさんとriyaさんの生歌を初めて聴きましたけど、やっぱりとても上手だなと感じました。君という神話、アニメOPで初めて聴いたときから鳥肌立ったけど生歌だと迫力がやばい。”遠く遠く遠く遠く”のところ、生歌で全部歌い上げるのすごい。音楽と作画は本当に良かったのになあ、神様になった日は。
 CLANNADはアニメしか見てないので影二つが紹介された時の熱狂には参加できなかったけど、後ろで流れる映像を見ながらメグメルと小さなてのひらを聴くだけで涙を流すには十分でした。しかし、僕の隣にいたおそらく歴戦の鍵っ子であろう人達がことあるごとに泣き崩れているのが印象的な一日だった。クドわふたーのPVが流れて泣いて、Light a Wayでさらに泣いて、リトバスで泣き続けて、サマポケはほどほどに感傷に浸っていて、神様と新作では落ち着いていて、CLANNADとアンコールで完全に崩壊していて、key作品への思い入れの深さが見ていて清々しかったです。

サマポケ 迷い橘 聖地巡礼

 ライブが始まる前にサマポケに出てくる迷い橘のモデルと言われている「ひたち海浜公園」のネモフィラを見に行ってきました。

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ちょうどこの土日が始まる前に見頃になったということで観光客がいっぱい。みんな迷い橘に誘われて来たんだね。識やツムギもいたのかなあ。

 

公園の見学を終えてライブ会場に行こうと電車に乗ったら、架線にビニールが引っかかったとのことでしばらくの運転停止になってめっちゃ焦った。2時間前に会場に着くはずだったのに結局到着は30分前。開演に間に合わなかったら暴れてたかも。あぶないあぶない。

まとめ

key作品は音楽を聴くだけでアニメやゲームでの出来事が思い出されて当時の記憶と感情が呼び起こされるのがズルいです。今回、コロナ禍での開催ということで様々な困難や苦労があったと思いますが、無事に、そして素晴らしいライブを開催していただけたkeyスタッフの皆様に感謝です、ありがとうございました。またいつか、KSLが開催される日を心待ちにして。

YURiKAさんのKeyカバーライブ行きたいなあ。

第十八回博麗神社例大祭

3月21日にツインメッセ静岡で開催された『第十八回博麗神社例大祭』に参加してきました。

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例大祭どころか即売会に参加するのも初めて。

 

3/20(土)

この土日は静岡市で版画展も行われていたので、それにも行こうと思って前日入りしました。
版画展については他にも書きたいことがあるので別途記事に書こうかなと。

版画展の他にも土曜日は別の予定が1個ありました。それがこちら。

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するが卯酉ジャズ祭。
東方Projectの楽曲をジャズアレンジしているサークルさんが集まってジャズライブをするイベントでした。正直、東方ジャズアレンジはこれっぽっちも触れたことがないジャンルでしたが、せっかく静岡で開催されるんだし物は試しと参加してみました。(前日に参加登録したらその直後に完売連絡が来てビビった)

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そして、当日。率直に言って、めっちゃ良かった。
ジャズをしっかり聴くのは初めてだったけど、心地よい音色でした。
久しぶりのライブなのもあって、生の音楽の良さも感じました。

日本酒と漬けまぐろを肴に演奏を聴いてる時間はこの上なく至福でしたね。

 

3/21(日)

例大祭当日。

大雨。

いやまじで雨ヒドすぎ。キツかった。

雨の中の待機を乗り越えていよいよ開会。
ビギナーズラックで入場チケットが最速入場組だったり、真っ先に上海アリス幻樂団に並ぶつもりが列を見間違えて別の場所に行ったり、予想以上にお金を使いすぎたりと、初めての即売会参加を体現するようなプレイングでした。

戦利品がこちら。

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いやー、思ったより買いました。ボードゲームは対戦相手募集してます(切実)。

 

この後は一緒に参加した友人とラーメン食べに行ってボウリングして帰宅しました。

 

感想

例大祭ってもっと激しい場所かと思ってたけど、静岡で開催&緊急事態宣言中&大雨のコンボで参加者が少なかったのか、平和に楽しむことができました。ちょっと買い物に精を出し過ぎてサークルの方々とコミュニケーションを取れなかったかなと感じるのが後悔。でもコロナ禍の状況だしなー。次はもっとゆっくり見て回ったりしたいです。

星空鉄道とシロの旅 感想

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しばらく記事を書くのを放置していましたが、最近いろいろイベントがあるので備忘録という本来の役割を果たすために復帰しようかなと。

まずはリハビリがてら1月にクリアしていた「星空鉄道とシロの旅」の感想記事を。
(発売当時の状況では)ネタバレは控えてほしいとのことなので、ザックリとした感想を残すだけになるかと。

 

感想

 プレイ時間は10時間程度でした。ミドルプライスの同人作品なので、こんなところかなと。商業作品のATRIやきまテンはもう少し長かった気もしますけど、短いながらもきちんとまとめられていたと思います。

プレイ後の感想としては、生きることの大切さや目標を持って人生を歩むことの重要性を噛み締めさせられました。シナリオ構成のさかき傘さんは噂には聞いていましたが、なるほど一筋縄ではいかない物語を書かれますね。

個人的にはカルハが好き&印象に残っています。主人公との小気味いい掛け合いや子供らしく元気にはしゃぎまわる様子に、たまには背伸びして立派に仕事をしているように取り繕うところなど、いろんな表情が見れてかわいかったです。

タイトルやパッケージイラストからして「銀河鉄道の夜」をイメージしているだろうなと思いましたが、作中に宮沢賢治と所縁のある設定や名前が多く登場して懐かしさを感じました。

UIやシステム面は正直不満が多かったです。同人作品と商業作品の壁かなと。
バックログジャンプができない。バックログの範囲が狭い。セーブデータの削除ができない。キャラ立ち絵が動くたびにスキップが止まる。などなど。

 

まとめ

しらたま先生の絵とさかき傘先生のシナリオに興味を持って買った作品でしたが、十分に満足できる完成度でした。一度クリアしたあとにもう一度最初から読んでみたくなる構成で、忘れたことに引っ張り出して遊んでみるのもありかなあ・・・。ねりちゃんがかわいくてノワールにあまり惹かれなかったけど、他の人はどうなのかは少し気になる。

4月に9-nine-が発売するまでにハミクリを終わらせなきゃなあ。

さくらの雲*スカアレットの恋 感想

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さくらの雲*スカアレットの恋、通称さくレット、クリアしました。
最高でした。傑作でした。ネタバレとか何も気にしないで感想を書き殴ります。
駄文長文注意警報。

雑感

 プレイ時間は30時間弱だと思います。
 いろんなところで「さくレットは2020年にやっておけ」というコメントを見かけておきながら、実際に始めたのは12/25という始末で案の定2020年にクリアすることが出来なかったのは至らぬところでしたが、それでも2020年の記憶が鮮明に残っているうちにこの作品に出会えたことはとても幸せでした。世の中が大変な状況になっている今だからこそ心に響き、そしてこれから胸に刻んでいかねばならないメッセージが込められているように感じました。

各ルートの感想

通常ルート

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 この作品は分岐選択肢無しの完全一本道のシナリオだったので、共通ルートと言うよりは通常ルートと言うべきでしょうか。
 主人公の風見司が2020年から100年前である1920年の大正時代にタイムスリップしてから、今作の敵である加藤大尉が本来1923年に起こるはずの関東大震災を何らかの方法で人為的に誘発して東京に騒乱が招かれるまでの話でした。終わってから振り返ると、年号を一切使わずに西暦のみで記されてあったのも大事な伏線でした。

 桜の木の下での所長との出会いから、蓮の依頼で蘭丸の捜索、チェリィ探偵事務所で共に暮らすようになって、遠子の依頼でまりもの探索、中森さんの依頼で怪盗ヘイストとの対峙、メリッサの依頼で幽霊対峙、と様々なキャラクターとの出会いや日常を繰り広げながら平和な日々を過ごしていたところで、突然の関東大震災の勃発、そして拳銃を片手に不敵な笑みを浮かべる遠子のCGでエンド。

 キャラクター紹介を中心にしながら最後に大きな謎を残して終わりました。また、途中にもいろいろな伏線やミスリードが隠されていて見事にしてやられましたよ。美術館で怪盗ヘイスト初めて対峙した場面、普段は遠子と一緒にいるはずのメリッサがその場にいなかったことなんて完璧なミスリードでしたね。最後の遠子が怪盗ヘイストを射殺するシーンでは、遠子とメリッサってそんな関係だったの・・・?と戦々恐々とした記憶があります。

遠子ルート

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 通常ルートでまさかの敵方の雰囲気を醸し出して終わったと思ったら、その直後が遠子ルートでした。個人的には、遠子が敵なんじゃないかと疑心暗鬼の状態でこの後ずっと過ごすことにならなくて助かりました。

 遠子ルートでは、遠子と怪盗ヘイストあらためリーメイの因縁が明かされ、さらにリーメイと加藤大尉との間にも過去に何かしらの繋がりがあったことが示されました。遠子と結ばれた司が大正時代に残って生きていくことをあっさり決めていたことに違和感が無いでは無かったですが、そこにもしっかりと意味が込められていたことは脱帽です。

 遠子は最初のお嬢様という設定から少し距離感を感じていましたが、予想以上に感情や表情が豊かだったり、年相応のおてんばっぷりを見せたりと親しみやすい性格で一気に好きになりました。普段のドレス姿もかわいいですが、私服のワンピースや制服のセーラー服姿も素敵でした。司から未来について聞く時のワクワクが止まらないような笑顔や咄嗟のアクシデントが起きた時の慌て顔や恥じらい、自分が犯罪に手を染めていることを自覚しながら司に対する恋心が大きくなっていたことの葛藤を乗り越えて告白をして返事を貰えた時の喜び、などなどこちらまで感情が伝わってきました。

蓮ルート

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 蓮は他の3人と違って特殊な事情や背景を抱えていないこともあって、あくまで大正時代に生きる普通の一般庶民の女の子との恋愛模様を描いた平和なルートでした。探偵事務所に持ち込まれた依頼も「バウムクーヘンの作成」「住み着いた野良犬の対応」「南極磁石と永久機関の捜索」と比較的穏便なものばかり。南極磁石と永久機関に関しては、これまた成田さんと加藤大尉に繋がるシナリオ的に重要な話も出てきましたが。

 バウムクーヘンについては純粋に新しい知識が得られて面白かったです。日本でバウムクーヘンが食べられるようになったのが大正時代で、それも捕虜のドイツ兵が広島で作り始めたのがきっかけという話。これだけに限った話ではなかったですが、作品の中で語られる大正時代の文化や歴史には実際の史実を元にしたものが多く、人物名や地名や美術品などに興味が出てきて調べて時間が過ぎてしまったことは数知れず。

 あと、伏倉さんが未来から飛んできたような描写があったのも蓮ルートでしたっけ。ちらっと意味深な発言をして去っていったので何かあるんだろうなとは思ってました。

 蓮ルートとはいえ、蓮と一緒に過ごしていた時間はあまり多くなかった印象です。それでも、上記CGでの「私に恋を、教えてくれますか?」の破壊力はヤバかった。途中まで司が未来人であるという事実を明かしていなかったこともあって、未来と大正の時代を超えた恋愛の奇跡と尊さを見ましたね。付き合ってからの蓮のドSっぷりは見た目のギャップと合わさって刺さりました。

メリッサルート

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 東京の中を歩き回ってきた前の2ルートとは打って変わって、メリッサルートの舞台は目的地不明の列車の中。閉鎖空間で起こる殺人事件はミステリー作品ではメジャーですね。オリエント急行の殺人は読んだことないですが。

 僕がメイドにそこまで惹かれないこともあって、メリッサにはあんまり魅力を感じていませんでした。・・・最後に自身の秘密について明かされるその瞬間までは。

 メリッサルートの最終盤から所長ルートにかけてが、さくレットは本当に面白かったです。OPのインストが流れ、メリッサから最後の依頼が告げられ、アララギ視点の外伝を経て、最後の枝に渡る流れはこれ以上なく心が踊りました。詳しくは所長ルートで。

 メリッサルートで印象に残っていることといえば、柳楽さんが殺人に手を染めてしまったことですね。正義感に燃える刑事さんポジションのキャラは作品終盤で命を落とす流れになることが多いのですが(カオスヘッドネウロ)、まさか犯人側に回るとは思いもしませんでした。心の底から闇に落ちてしまったわけではなく、その場の成り行きで致し方なく殺ってしまった事情もありましたが、ちょっとした事件の掛け違えでどんな未来を歩むかが変わってしまうというのはなるほどなと思いました。ただでさえ、時間移動もののSF作品ではバタフライエフェクトだったりパラドックスだったりと関係が深いのもあって。

所長ルート

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 さくらの雲*スカアレットの恋という作品の解決編であり、この作品のすべてが込められていました。これまでのルートも個人的には十分に楽しめていましたが、それらを遥かに凌駕するほどの熱量と感動をいただきました。

 所長ルートでの2度の解決編が作品中での山場であり真骨頂でした。

 1度目の解決編は司の正体について。左腕が機械で切り離されているCGを最初に見た時は息が止まり、脳天から電撃で撃ち抜かれたような感覚でした。時々閃光が走るようなフラッシュバックのシーンがあったり、エッチシーンでも頑なに服を着たままで手袋を外さなかったりと確かに伏線と思えるような要素は散りばめられていました。
 それに2020年が決して平和な年ではなく、第三次世界大戦が勃発している"桜雲2年"であるということ。司のお母さんの悲鳴の回想シーンもあったので、こっちはなんとなく察していました。現実の2020年も平穏な時代ではありませんでしたが、それ以上の凄惨な時代を過ごしてきた司が未来に帰りたくなく大正時代に残りたいと考えるのは想像に難くありません。
 しかし、そのような司に対して、それでもお前は未来に帰るべきだと告げる所長。いや、かっこよすぎです。これまでも随所に見られていた所長の格好良さを改めて見せつけられました。所長の何が良いって、確固たる信念を持ち、一度決めたことは貫き通すこと。多少お金にがめつかったり、頓珍漢な推理を繰り広げたりすることはあるけれど、それ以上に他人のことを思いやることができ、正しい道へ導くことができること。とても魅力的で素敵なキャラクターでした。所長が司のことをただの部下以上に大切に想っていることは他のルートでも描かれていましたが、そちらではあくまで保護者として。本ルートでようやく恋人として司のパートナーに、お互いを支え合う関係になったのを見て感無量でした。
 司は探偵である所長の右腕に、所長は黒死病で失われた司の左腕に、右腕左腕という喩えは定番ですが何度見ても良いものですね。

 2回目の解決編は加藤大尉との最終決戦において。加藤大尉が未来人であるのは物語中盤から明らかにされていましたが、最後により深く踏み込んできました。加藤大尉が昔使っていた"支倉"という偽名が"伏倉"に似てるなあと血縁関係を疑ってはいましたが、もっとストレートな繋がりでした。作中で取り上げられた「親殺しのパラドックス」や「シュレディンガーの猫」が最後に意味を為すという展開にも唸りました。小夜子さんとのプロポーズの話がどのルートでも出てきていたのが最後の最後に重要な伏線として回収されるとは。
 伏倉さんが小夜子さんと結ばれる可能性が無くなるという事実が観測され、子孫の加藤大尉が生まれる未来が消滅し、加藤大尉はどの時代にも存在できなくなる。綺麗なまとめ方だったと思います。司も消えないのはおかしいという意見もありますが、タイムマシン理論が生み出されるという可能性はまだ完全には消えてないのではと考えています。

 2度の解決編を経た先に待っていたのは、最後の別れと新たな出会い。そしてグランドエンディング。
 出会いの櫻の木の下でお互いの帽子を交換して最後の想いと別れを告げるあの場面とイラストですべてがやられました。久しぶりに目から涙が止まりませんでした。そしてマリィの笑顔と所長の手紙、読み上げられる言葉のひとことひとことに心が揺さぶられて涙が搾り取られました。
 最期まで司と所長が一緒に過ごす姿が見たかったという気持ちも少なからずあります。それでも、他の3人のルートでは大正に残る選択をする司が、所長ルートでは未来に帰る選択をしたということにこそ意味があると思うし、所長との離別を乗り越えてこそのマリィとの出会い、エンディングで語られる各キャラクターの大正時代での奮闘の様子が心に染み渡るのだと思います。クリア後にタイトル画面に戻ったときの余韻と喪失感は今後も忘れないでしょう。

その他

各ルート感想で既にいろいろ語り尽くした気がしますが、細かい要素について最後に感想を書きたいと思います。

シナリオ

 さくレットの評判の良さはプレイ前から知っていたましたが、期待を見事に超えてくれました。
 最後の解決編に持っていくまでの伏線の張り巡らせ方や怒涛の回収の手際はお見事。
また、作中に登場する大正時代の世界観や舞台設定、史実や文化財の大半が実際に現実に存在するものであるということには驚きが隠せません。冬茜トムさんの実力を思い知らされました。さくレットは大正文化をモチーフにしており、過去作のアメグレは西洋文化を参考にしているらしいので、今度アメグレをプレイする時はそこも楽しみにしています。

 作中で重要な要素であり、タイトル回収にもなっている"桜雲"。令和が万葉集から引用されており、同じ和歌集である古今和歌集から引用される未来があったとしたら桜雲という元号になっていたかもしれないですね。桜雲である必然性はあまり読み取れなかったですが、なんでもかんでも必然性を求めすぎるのは良くないと自覚しているので自重しておきます。

 シナリオの進み方に分岐選択肢が無くて一本道だったのはこれで良かったです。キャラゲーなら自分が好きなヒロインから攻略したいですけど、シナリオに重きを置いた作品なら推奨順に攻略したいですからね。別に調べてもいいんですけどネタバレに遭う可能性があるし、最初から一本道にしてくれるならそれに越したことはないです。
特に今作ならメリッサルートをいつやるかで作品に対する印象が大きく左右されるでしょうからね。

キャラクター

 ヒロイン4人に加えて、様々なサブキャラクターが登場しましたが、どのキャラクターも個性と役割を持っていて凄いと思いました(小並感)。しかも同じキャラクターでもルートによって立ち位置が変わってしまうというシナリオの流れには感服しました。

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 所長が最後に何度か語っていましたが、人間や人生は単純なものではないということ。何かのきっかけひとつでこれから歩む道先が正反対に変わってしまうこともあるでしょうし、大切な出会いのおかげで命を救われることもあるでしょう。それを見事に表現されていました。

 メインヒロイン4人の中では、やっぱり所長が1番好きです。さくレットを最後まで遊んだ人は誰でも所長に惹かれるのでは。他のルートでも司と共に過ごしていた時間は長いし、どんな時でも司のことを大切に想っているのが伝わってきて、もうたまらないです。時折見せるギャグ要素も良いアクセントでした。

音楽・イラスト

 主題歌の桜欄ロマンシア、エンディングの比翼のさくらがとても印象的です。和風ロックの曲調が好きなので桜欄ロマンシアはどストライクでした。桜欄ロマンシアのインストは作中でも山場となるシーンで流れていて、聴くと反射的にテンションが昂ぶるようになりました。
 イラストに関しては、梱枝りこ先生の絵はこれまであんまり琴線に触れることは無かったのですが、今作ではビビッと惹かれました。特に所長と蓮のキャラデザはめっちゃ好きです。りこ先生は洋装のイメージが強かったですが、和装のほうが僕の好みに合ってました。あと全体的に何か絵のバランスが良かったというか。このあたりは上手く言語化出来ないですが。

総評

 シナリオ・世界観・キャラクター・音楽・イラスト、すべてにおいてクオリティが高い素晴らしい作品でした。
 あっという間に大正浪漫の雰囲気に惹き込まれ、非常に緻密で美しいレトロな街並みや建物の背景に魅了され、和気藹々とした日常の裏で暗躍する影との闘いに胸が鷲掴みにされました。

 2020年の終わりから2021年の始まりにかけて、この作品に出会えたことはとても幸せでした。
 2021年も良い作品に出逢えることを楽しみにしています。

きまぐれテンプテーション 感想

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きまぐれテンプテーション、クリアしました。

ミドルプライスながらも、きちんとまとまっていて良い作品でした。

 

感想

最初に辿り着いたエンディングが【            】で、いきなりバッドエンドだったわけですが、これのインパクトが大きすぎました。アンネの部屋でイチャイチャするかどうかが分岐点とか分かるわけないやん・・・。アンネの正体が判明した後の禍々しい悪魔のようなCG、エンディング後のすべてが片付いた後の部屋でアンネと悠久が隣り合って座っているCG、そしてタイトル画面に戻った後に操作手帳を開いた時の衝撃、これでノックアウトされ放心状態になりました。

今作のように登場キャラクターが限られているシナリオだと真犯人や黒幕の正体が察せられそうなものでしたが、恥ずかしいことにまったく予想できていませんでした。いや、悠久と同じように、見たくないもの信じたくないものから無意識的に目を逸らし続けていたのかもしれません。

何回か本編中で会話に出てきた「アンネの部屋の大量の芳香剤」、しっかり伏線でした。何かしら絡んでいるような雰囲気はあったものの、死臭のごまかしには結び付けられなかったです。

 

【            】である程度満足して、他のルートを回収するまで2週間くらい間が空いてしまいました。そのせいか、TRUEルートの盛り上がりがあんまり感じられなかったのがちょっと消化不良。最初にTRUEルートに行っていれば逆だったんでしょうけどね。

ただ、ゲームクリア後の操作手帳で【約束】の項目を見た後に【アンネリーゼ】に追加されたものを見たときは心が震えました。教えてくれた批評空間のコメント、ありがとう。あれを見て、僕の中できまテンは完結することができました。最後のCGで鬼として召喚に成功したことはうかがえていたけれども、あらためてアンネが戻ってきたという実感を感じられる素晴らしい演出でした。
悠久の左腕が代償として消えてしましたが、これからはアンネが相棒として代わりに片腕として付き添っていくことでしょう。

 

サリィはすべてのルートで改心することなく斬られる展開になったのは個人的に良かったです。あそこまで絶対悪で頭がイカれてしまった人が善人に戻るという展開を見せられていたら不満や反感を抱いていたと思います。クーリィ、ハーヴィー、ロウジィにかなり愛着が湧いていて、中途半端な大団円は見たくなかったので。

琴莉さんがかなり怪しいと勘違いしてました。電話で都合のいい情報を与えながら、手の上で泳がされているみたいな。どうやら、過去作の登場キャラみたいで、ちょっと興味が出てきました。以前のシルプラ作品のセールのときにあけいろとななリンは買って積んであるので、そのうち手を出してみようと思います。やっぱり秋野花さんすごい。

 

まとめ

シルキーズプラス系列の初めての作品でしたが、シナリオもキャラクターも好みでした。歩サラさんのお芝居も堪能することができ、満足度の高い作品でした。

京都観光

意外と執筆意欲があるので京 Premium Live 2020のついでにした京都観光についても簡単に書いていきます。

 

京都国際マンガミュージアム

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ホテルが近かったのでぶらっと寄ってみました。

外国のマンガや日本の昔の週刊雑誌を眺めたり、マンガに関する歴史やマンガ家さんのお仕事について勉強できたりと純粋に文化としてのマンガについて触れることが出来て良い時間でした。

マンガを読むだけなら近くのブックオフとかのほうが品揃えが豊富なのはちょっと風情がなくて寂しかったです。それでも、元々は小学校だった建物の中で読むポケスペは昔を思い出してノスタルジックでした。

 

ラーメン二郎 京都店

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京プレに行くと決めた瞬間に訪れることを決心していました。けっこう電車を乗り継いで行き、割とアクセスは良くないなと。月曜日の昼間ということでお客さんはあまりいなく、すぐに着席できました。お客さんがいないといってもカウンターは埋まるくらいなのは流石二郎というところか。仙台店の行列がデフォルトになっているのが悪い。

 

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お待ちかねの京都二郎。
二郎そのものが9ヶ月ぶりということで二郎に飢えていた体は待ちかねていました。

 

うーん・・・。美味しくないわけじゃないけど物足りない。これがすべてです。
仙台店のコッテコテのド乳化スープに染められてしまった僕の体にはあっけなかった。繰り返しますが美味しかったですよ。スープそのものはしっかり味があった。ただ野菜の茹で具合や麺の食感がナンカコレチガウみたいな。九条ネギも正直いらなかったかなあ・・・。一度食べて満足してしまったので多分次リピートはしないと思います。

 

叡山電鉄

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京都観光中に一番テンション上がったのが叡山電鉄
後で調べてみたら、まんがタイムきららとコラボをしているみたいです。
電車の壁に描かれていたチマメ隊や駅員さんの服装をしている青葉、そのままのココアのパネルにおちフルの番宣ポスターなどきらら作品があちこちにいました。(ゆるゆり百合姫だよな・・・?)
こういう想像していないところで好きなものに出会えた瞬間って格別ですよね。

 

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永山ゆうのん先生のパンフレットもあってびっくりしました。ゆうのん先生、割といろんなところで見かけます。

 

伏見稲荷大社

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清水寺とか金閣寺とか観光名所は豊富な京都ですけど、前述の場所は高校の修学旅行で行ったことがあったので、今回はまだ行ったことがない伏見稲荷大社におじゃましました。千本鳥居は一度この目で見てみたかったですしね。千本鳥居といえば絵師100人展でのHiten先生の作品を思い出しますね。

たくさんの鳥居は圧巻でした。本当に1000本あるのかは知りませんが、鳥居は定期的に新しいのに交換しているんですね。年季が入ったものもあれば、新品でツヤツヤのものもあって興味深かったです。

社巡りは普通に山登りだったのでなかなかキツかったです。二郎食べたばかり&一日分の荷物を背負っての山登り、いい運動になりました。山頂まで登る時間と体力は無かったので、次機会があれば挑戦してみてもいいかも。

 

総括

けっこう京都観光も満喫しました。
GoToクーポンは京ばあむ、八ツ橋、漬け物を買って帰りました。
京プレミアムライブもそのあとの観光も満喫出来て、楽しい京都旅行一泊二日でした。