白昼夢の青写真+α 感想
白昼夢の青写真、クリアしました。
ゲームだけでなく朗読劇イベントにも参加したり、作者の緒乃ワサビさんが執筆した『天才少女は重力場で踊る』も読んだりしたので、そのあたりも含めて感想をまとめようと思います。
(本当はグノーシアよりも先に白昼夢の青写真の感想記事をまとめるつもりだった)
『白昼夢の青写真』、他に類を見ないほど完成度が高い作品でした。
面白かった。それは間違いない。
ただし、この作品を面白かったの一言で終わらせるのは、あまりにももったいないとそう思わざるを得ない作品でした。
この作品との出会いは後述する予定ですが体験版パートについてはPC版発売前にゲーム実況で視聴したことがあり、その後の初見部分からはCASE-2からプレイしたのですが「あれ……、この作品やばくね……?」と。
そこから、気になるシーンではひたすらスクショを撮り、各章が終わったら感じたことをノートとかにまとめ、いざ来たる感想記事執筆の資料にしようと準備をしていたりしました。(結局、今現在執筆している手元にはないんですが。諸事情で時間が経ってしまい、とにかく早く何かしら形に残そうとカタカタキーボードを打っている)
白昼夢の青写真
白昼夢の青写真、クリアしました。
— ぬえ (@whitethrush_btr) 2024年7月28日
とても良い余韻。CASE1-3で積み上げて来たものをCASE0でまとめて回収していく流れは気持ちよかったし、何より海斗と世凪の物語を1人の読者として追体験することができて本当に幸せだった。 pic.twitter.com/1aJ1LrXG51
白昼夢の青写真、各CASEの構成があまりにも見事すぎて他と比較することが難しい
— ぬえ (@whitethrush_btr) 2024年7月28日
どのCASEが欠けても成り立たないし、この展開にすることで最後のプレイヤーの感情の爆発に繋がっているとも思える
クリア直後の感想。余韻にひたりまくっているのが分かりますね。
ポストにも書いているし、他の人の感想記事等でも幾度となく目にしてきたけど、本作の構成が本当に秀逸だった。
CASE-1~3のそれぞれ独立したエピソードが最終的にCASE-0に繋がる流れ、最高に美しい。
それにCASE-1~3そのものには特に違和感のある伏線を残していたわけではなく、物語自体はCASE-0に入る前までに完結しており、不完全燃焼や消化不良といった感覚を抱くこともなかった。
CASE-1~3の終わり方がすべて離別エンド(離れ離れになった理由やキャラクターの心境とかはそれぞれだったけど)なのはプレイ時には気になっていたけど、それもCASE-0でちゃんと事情が説明されていてそこでひとつ拍手。
さらにエピローグで世凪と海斗が再び巡り会えて別れの物語ではなくなったことを反映して、CASE-1-3においてもその後のエピソードを解禁して幸せな結末で終わらせるという展開にはもうスタンディングオベーション。
白昼夢の青写真の公式サイトには制作陣が本作のあれこれについて語るコラムが掲載されており、これを読むとさらに本作への解像度が上がるし、なによりこれほど熱意を持って制作された作品なんだということが感動を何重にもしてくれます。
音楽やグラフィック、スクリプトなどについて専門的なことは分からないけれど、とにかくボリュームが圧倒的なことは察しました。
だってこれ、本番のシーンが無い全年齢版の差分なしでCG121枚だよ……。他と比べるまでもなく多すぎるって。しかもどのCGのクオリティも素晴らしい。ずっと眺めていても飽きない。むしろ引き込まれる。
加えて、OPとEDが各CASEごとに用意されていて。EDだけなら各√ごとに実装されているのは美少女ゲームならよくあるけど、OPもとか正気じゃないって。
ここから各CASEの感想も。
CASE-1
学生の凛と非常勤講師の有島の物語。
あまりにも生々しい。
人間の"生"と"死"とはどのようなものなのかについて、ひたすらにぶつけられた。
また、名声や承認欲求という、人間であれば誰でも持っていておかしくない欲望への向き合い方もテーマのひとつだったと思う。
祥子の言葉だっただろうか、「波多野先生に群がるその他大勢になりたくなかった」という言葉に共感しかなかった。
好きな絵師さんや声優さんがいる、その方々の作品や活動が好きで応援をしている、ただし同じようなファンは他にも大勢いて、自分はそのような人たちとは一緒にはなりたくない、どこか達観したポジションで見ていたいという不毛な葛藤を何年も胸の中に抱えながら生きていたりする。この葛藤は一生消えないものなんだろうなと半ば諦めており、上手に付き合っていかなければいけないと日々苦しんでいる。
CASE-1の有島夫妻も波多野秋房に狂わされてしまった。圧倒的な才能に魅せられて、追いつけないかと必死に藻掻いて、それでも追い付けなくて。フィクションの物語だからこそ、その物語の中のリアリティに胸が苦しくなった。自己嫌悪、という気持ちもあったのかもしれない。有島夫妻にも自分にも。
話題が重苦しくなってきたので、気分転換。
凛ちゃん、妖艶すぎないっすか? 良くないと思います。
頬杖を突いて先生のほうを横目でチラッと見て微笑むスチルとか。ええ、良くないと思います。
あと桜木町のシーンでの凛ちゃんが正面に写っているスチル。綺麗……。頬を伝う涙に彼女の動揺が。いつもと違うデート用のおしゃれな服装なのに、表情はその場に似つかわしくない絶望が浮かんでいるのが"良い"。愉悦。
有島先生が風呂場で自殺しようとし、本当に死の直前まで足を踏み入れたシーンのシャワーヘッドのみのスチルもまた良かった。暗闇の中で押し寄せる水流。無機質で無慈悲に降り注ぐあの世への誘い。緊張感がやばかった。
渡辺のような損得勘定抜きに付き合ってくれる友人の存在のありがたさ。これは最近僕も肌で感じることが多い。(30目前になってくるとね……)
すべてのCASEの話も好きですが、CASE-1は読むのに一番エネルギーを消耗したと思います。
CASE-2
酒場を営む作家のシェイクスピアと劇団の座長のオリヴィアの物語。
CASE-1~3の中では一番好きでした。CASE-0はちょっといろんな意味で次元が違うので比較しないけれども。
ヒロイン勢の中でもオリヴィアが一番好き。普段は御主人様としてシェイクスピアに対する言動がキツかったりしたのに、中盤の告白シーン付近で一気に"女"になるところが可愛すぎて!!!
日常的なシーンではシェイクスピアのボケに対してひたすらツッコミに回ることも多く、高貴な身分には似つかわしくない言動をするギャップが良き。
CASE-2は他のCASEと比べて登場キャラクターも多く、劇団のメンバーや酒場の面々と共にワイワイ話しているのを読むのも楽しかった。
あと、CASE-2を遊んで再認識したのですが、史実を元にした物語が僕は好きみたいですね。他作品だとさくレットとか。
ガチガチに歴史を追いかけるのではなく、作品設定の一部に実在の人物とか出来事とかを紛れ込んでいるのが好きな要素らしい。本作だともちろん「シェイクスピア」彼の人とか、イギリスの演劇のあれこれとか。
サブキャラの何人かについて。
メインのシェイクスピアとオリヴィアを除くと、一番好きなのは実はスペンサーかもしれない。喋り方や声優の声質も好きな要因ではあるけれど、奇怪な話し方をしているくせに、その本質は優れた審美眼の持ち主というギャップが良いんですよね。人として好きになれる気はしないけれど。
マーロウは作中で懲らしめられて終わるのかと思っていたけど、そんなこともなく逃げ切られたのがちょっとモヤモヤしていた。エピローグでスペンサーと共に旅立っていって、ちょっと溜飲が下がったけど勧善懲悪というのは本作のテーマではないのだということを理解したりもした。
劇団のメンバー、トーマスとキキに関して、二人の役を交換してお互いにベストな配役を与えて試してみたら予想以上に上手くいって、それで二人が演劇の楽しさを理解してそれまでの不真面目が嘘のように演劇にのめり込むという話の流れがとても良かった。適材適所って大事だよなあと。(聞いているか、弊社よ)
トーマスの描くデフォルメイラストがかわいくて、やっぱり絵の練習しようかなって思ったりもした。
CASE-2の最後に開くtipsが「ロミオとジュリエット」なのがエモい。エモすぎる。
CASE-3
カメラマンを目指す学生のカンナと教育実習生のすももの物語。
一番美少女ゲームらしいお話。甘酸っぱいひと夏の思い出。おじさんには眩しすぎるよ……。
今更の言及になるけれど、今作のメインヒロインのキャラクターボイスを"すべて"担当している浅川悠さんのお芝居が本当に素晴らしかった。年齢も性格も異なる複数のキャラクターを見事に演じ分けていらっしゃいました。後々詳述するけれど、朗読劇ではこれはリアルタイムで切り替えながら演じていたのだから、プロの声優さんってやっぱり凄いなって。
そして、その浅川悠さんの演技力が最も表れていたのがすももだと思います。教育実習生モードのおどおどした雰囲気と平常時の女子大生らしい自然体な口調の差が凄い。
CASE-3をプレイ中に何度も思ったのは、パパン良い人すぎるでしょ……ということ。あそこまで息子のことを考えて行動できるのは、素直に一人の大人として尊敬する。子供の頃は親の支えってなかなか感じることが出来ないし、感じたとしてもそれを素直に受け止めることも難しい。最後にはカンナとパパンも和解することもできて、すがすがしい終わり方だったな。
CASE-3で印象的だったことのひとつ、カメラの撮影シーンの演出。ファインダーを自分で動かして、ボタンを押すことでシャッターが切られる。初めてこの操作をした時は、これビジュアルノベルゲームだよね?と衝撃が走った。それまでは物語の読者でしかなかった自分が、当事者としてその場に居合わせているような感覚にさせられました。
スペンサー嵐山、やっぱ好き。CASE-2→CASE-3とやったのもあって、お前スペンサーの祖先かよ!って大声でツッコんでしまった。
CASE-0
『白昼夢の青写真』という作品はこのCASE-0、海斗と世凪の物語。
CASE-1~3で追体験してきた物語が最終的にこの二人に繋がるというのは、一般的なグランド√やトゥルー√とは似て非なるもので、こうきたか……!と衝撃を受けました。
他CASEの途中でも記憶を消した海斗と世凪、そして出雲とリープくんの会話シーンはたまに差し込まれており、凛、オリヴィア、すももといった各ヒロインと世凪に何かしらの繋がりがあるだろうというのは無意識的に刷り込まれていたと思います。白髪、赤眼という分かりやすい共通点もあることですしね。
ただ、凛・オリヴィア・すもものパーソナルデータから世凪はこういうキャラクターなんだろうと推測することはけっこう難しく、逆に、CASE-0を進めていく中で世凪のこの一面があのキャラに反映されていたんだ!と判明する瞬間が気持ちよかったですね。
CASE-0ではCASE-1~3を思い出させる演出がたくさんありました。どちかというと時間軸上ではCASE-0の先にCASE-1~3があるので、思い出すという言葉が適切なのかは諸説ありますが。
一番分かりやすいのは、CGの構図ですよね。CASE-1~3で登場したCGと同じ構図でキャラクターが世凪に置き換えられたCGが多数登場してきます。図書館、書斎、背後からのハグ、ファーストキス、情事のシーン、などなど。
スタッフのコラムでは素材の流用とかコストの削減とか制作の都合上の裏話も語られていましたが、遊んでる側からしたらとにかくエモいからいいんです。これらのシーンが世凪の人生の中で色濃く残っていた瞬間なんだな……と。
そもそもだけど遊馬、親方、入麻が他のCASEのキャラクターとリンクしていたのも、うわあ……ってなった。
CASE-0では急にSF要素が強くなりましたが、そこも楽しめました。
まず、パラグルコースの変異原性に気付かなかったってとこにおいおいそれはアカンやろとツッコんだけれど、結局それは偽の情報だったってわけで流石にそんなガバガバな設定はしないかと一安心。紫外線を浴びると悪性黒色腫を死に至るという設定もシャチがそれで倒れたけれども悪性黒色腫ってそんな即死性の病気ではないだろうと思っていたけど結局は基礎欲求欠乏症という架空の病気だったわけで。海斗のお母さんの病気はなんだろうと考えて、ALSとかなんかなあ、でも鳥が息絶えるのと同じタイミングでそんな急に亡くなるかなあ?とかも思っていました。基礎欲求欠乏症ね……。よく考えたものです。物語の根幹を担うアルツハイマーは、これを持ってくるのかあと。突然リアリティな設定を持ち出されて面食らったところもあったけれど。
世凪と出雲について。
世凪の青年期の服装とかビジュアルめっちゃ好きなんですよね。まず、白と青を基調とした着こなしが良いし、世凪の活発な一面も垣間見える。ちなみに世凪で一番好きなシーンが最初に出雲を仮想空間に参加させて梓姫のアバターを生み出した時に出雲がすもものことをビッチと呼んでそれに反論するところです。
出雲は最初から登場していたけれどもCASE-0から一気に好きになりました。てかCASE-1~3の幕間では多少胡散臭さもあって、実は敵側のキャラなんじゃないの?と懐疑心もあったんだけど、CASE-0からそんなことはないと示されて、それだけじゃなくて海斗と世凪と過ごすうちに人間らしい感情も持っていることが明らかになった。(アンドロイドなのに人間らしい感情とはこれいかに。でもだってそう表現するのが最適なんだもん)
エピローグでの酔っ払った出雲とか、SNSでバズる世凪とそれに嫉妬する海斗とか、この三人の幸せな日々をずっと見ていたいよ。Switchの特典資料集で、最後の再会のシーンを描くか、描かずにおくかというコメントが掲載されており、本当に描いてくれてありがとう……!という感謝でいっぱいです。
CASE-0プレイ中はバチクソ涙を零した時もありましたが、エンディングを迎えた時はあまりウルッとは来ませんでした。感情が爆発するというよりは、胸の中に仄かに暖かく光る灯火が残り続けているという感覚。エピローグ大好き主義の人間のため、上質なその後の物語を大量に浴びせられて、ただただ幸福感に溺れていたような気がします。
余談
『白昼夢の青写真』の存在を知ったのはかなり前。
ゲーム実況プレイヤーのペリカン氏の体験版"公式"実況プレイでした。
PC版の発売前なので、もう4年前ですか。時が流れるのは早いものです。
体験版の実況プレイ動画は全部見たけれども、ゲーム本編を自分でやる気にはあんまりならず。
その後『白昼夢の青写真』の完成度や遊んだ方々の感想が話題になり、Steam版、Switch版と移植がされていく中で、実はSteam版もSwitch版も発売開始直後にとりあえず購入はしていました。
けれども、相変わらず遊んでみるモチベは上がらず、直近まで積んでいる始末。
そんな状況で、朗読劇の再演の告知がされたんですね。
これはもう、このタイミングでやらなきゃ、今後積みを崩す日は来ないだろうと。
天のお告げだと思って、なんとか朗読劇までの1ヶ月強で読み切ったわけです。
何回目かになりますが、本当に遊んで良かった……。この作品を放置したまま人生を終わらせるのは明確に損だと今なら過去の自分に断言できます。
ゲーム本編はそんなに文量としてはそんなに長くなく、30時間くらいで終わらせられたのも助かりました。
逆に、そのくらいの時間でこれほどの感動を体験できたということが改めて本作の凄さを浮き彫りになりますね。
それでは、引き続き朗読劇の感想を。
朗読劇 白昼夢の青写真 CASE-_ 誰が為のIHATOV
朗読劇『白昼夢の青写真 CASE-_ 誰が為のIHATOV』、最高でした。それ以外の言葉は要りません。 pic.twitter.com/Vi7yL0wRa8
— ぬえ (@whitethrush_btr) 2024年8月3日
『白昼夢の青写真』の正統続編として制作された朗読劇。
圧巻でした。
シナリオも音楽も映像演出も素晴らしかったですが、やっぱり何より声優さんの生のお芝居。最高でした。
特に世凪たちを演じた浅川悠さんと海斗を演じた福島潤さん。
浅川悠さんはゲーム本編でもそれぞれ異なる特徴的なキャラクターを4人も演じ分けておられて、その時点で凄いなあと思っていたのですが、それをリアルタイムで切り替えながら演じているのはこれまでの経験の力だなと改めて感じました。
そして、福島潤さん。ゲームでは海斗に声は付いておらず、昨年の朗読劇から海斗の声を担当されているとのこと。どんなかんじになるのかなーとこれも楽しみのひとつとして朗読劇に参加しました。その演技こそまさに圧巻の一言。特に海斗が決死の形相で凛の首を絞めようとする場面の緊迫感。鬼気迫るほどの海斗の迫力がビリビリと観客席のこちらに伝わってきました。あのような体験を味わえることが朗読劇の醍醐味ですね。
ストーリーのほうも何度目か分からないけれど、なるほどなあと唸らされる展開。
朗読劇の前の物販でポストカードを購入したのですが、一枚目のイラストから?????と混乱が頭の中で渦巻いていました。凛と海斗と祥子と秋房が一緒にいる???どういうこと???
これは絶対にネタバレになるなと察して、それ以上は見ずに朗読劇に突入。
ストーリーの説明はなかなか難しいので割愛させていただくんですけど、感じたのは、世凪は世凪であろうとすればするほど海斗とは一緒にいられないんだなということ。これも上手に説明することは多分出来なくて感覚で感じていることなんですが、とにかく切ないなあと。
天才少女は重力場で踊る
『白昼夢の青写真』を制作した「Laplacian」の代表の「緒乃ワサビ」さんが初めて小説を出版しました。それが、『天才少女は重力場で踊る』。
これを読んだのは『白昼夢の青写真』に手を付ける前でした。ゲームは放置していましたが、作品の評価とかは十分に目にしていたので、彼の人が書く小説はどんなものなんだろうと興味を持って手に取りました。
まず、小並感ですが、読みやすくて面白かったなと。
私が小説を読むとき感想を考えるとき評価をするときに一番影響するのが結局のところ読みやすさかなと。
読みやすさにも色々ありますが、本作は途中で詰まったりすることなくスラスラ読めたので、とても自分に合っている作品でした。あらすじとかあまり目を通さずに読み始めたので、作品の雰囲気的にけっこう堅苦しい用語や理論の説明が多いのかなと身構えていましたが、終わってみれば万里部と三澄の恋愛物語で小難しい展開にはならなかったのでホッとしました。途中、マレット理論とか閉じたループなどの科学的なトピックも出てきたけど、それ自体の完全な理解は物語を楽しむ上で不可欠ではなかったのが救いでした。
Xでの感想を見ていたら「劣化版シュタインズ・ゲート」みたいな呟きがあって、まあ言いたいことは分からないでもないかと。タイムマシンという物語の根幹のコンセプト、未来からのメッセージ、一度観測してしまった事象が変わることのないように行動していく主人公などなど似ているところは多々あるので。
それはそれとして、普通に面白かったですけどね。
途中からこれ敵方ポジションは二階堂さんだろとほぼ決めつけていましたが、最終的に敵となる人はいない優しい世界で終わったのは良かったです。登場キャラクターがそんなに多くなかったし、明らかに二階堂さんには裏がありそうな雰囲気があったので、僕の読みは別に間違っていない。間違っていないんだ。
娘……。なるほどなあとなりました。確かに時間遡行系の話だと自分の子供というのもよく登場しますね。(現在の自分に結婚願望とかは無いけど、こういうお話を読むとちょっと良いなあ羨ましいなあという気持ちも朧げながら浮かんできたりもします。)
三澄は行動的には相当小動物っぽかったのに、背丈は高かったのがギャップでした。164cmだっけ? 表紙絵でも割としっかり体型が描かれていました。(もう少しちっちゃいほうが僕好みだったかな……154cmくらい……)
序盤はツンケンしまくっていたのに、次第に万里部に懐いていくのはかわいらしかったですね。やっぱり胃袋を掴むのが最善手なのか……。普通はヒロイン側が手料理を振る舞う側な気もしますけど。最初に作ってくれた朝ご飯の写真を一石教授と二階堂さんに見せた時に別に嬉しそうにはしてなかったと言っていたけど、絶対ニコニコウキウキしながら見せつけたに違いない。その後もHCLプロジェクトって名目で大学の講義を一緒に聞いたり、バイト先に遊びに行ったり、万里部の家に押しかけたり(なんだよHCLプロジェクトって! ただのデートじゃねえか!)
表紙絵以外に挿絵が無かったのはちょっと物足りなかった。もちろんイラストが無いことで読み手それぞれが自分の想像を広げられる点はありますが、個人的にはHCLプロジェクトの途中の日常的なシーンで1枚くらい見たかったなーとか思ったり。あと、光ちゃんも。ゲームとかだと両親からそれぞれの特徴を受け継いだ表情がバーーーン!!!って映し出されるんでしょうけど。
まとめ
『白昼夢の青写真』ゲーム・朗読劇、『天才少女は重力場で踊る』と、「Laplacian」・「緒乃ワサビ」さんが作り出した作品を楽しませていただきました。
どれも本当に素晴らしかったです。自信を持って他の人にも薦めたいです。
Laplacianは次回作の話もしているので、次はリアルタイムで追っていきたいなと思います。