鵺のなく頃に

アニメ・ゲーム・イベント・野球の感想を気ままに書き綴ります。

LOOPERS 感想

5/28(金)にKeyから発売された『LOOPERS』を読み終えました。

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 予想以上に面白かったです。脚本が竜騎士07先生ということで期待半分、不安半分で始めたのですが、竜騎士先生要素とKey要素が良い塩梅でバランスが取れていて、両方の魅力を味わえる作品になっていたと思います。

 プレイ時間はボイスをフルで聴いてゆっくり進めて8時間くらい。早い人だと3時間くらいで終えられた人もいるようなので、ボリュームが少ないと言われたらそうなのだろうという気はしますが、僕は満足ですね。2k以上の価値ある時間を過ごせました。

 以下、個人的に述べたいことにネタバレ満載で感想を書いていきます。

 

自分が好きなこと・楽しいこととは何か?

 LOOPERSには様々なメッセージが込められているように感じましたが、僕が一番印象的だったのはこれでした。
 レオナが昏睡状態に陥り、ジョウ・ホリー・リタポンも生気を失いかけていたときに、タイラが企画した宝探しをきっかけに昔好きだったものや自分が本来やりたかったことは何だったのかということを思い出していく、見つけ出していくシーンからしばしば話題に上がっていたテーマ。

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「宝探しとは、自分の一番楽しいことを探すこと」
「時代も状況も問わず、楽しさはいつだって、自らの手で見付け出すもの」
「自分の好きなことでさえ、それの何が好きなのか、わかっていない」
 今作のキーワードでもある宝探しになぞらえて度々語られていました。
 僕個人としては、「自分が本当に楽しいと思えることを自分の手で見つけ出して全力で楽しみ尽くすことの大切さ」をあらためて学びました。最初は楽しいと思って始めたことでも時間が経つと義務感で続けるだけになっていたり、自分以外の他の人の目を気にして本当にやりたいことができなくなっていたり、気が付くと苦しみだけなんてことはよくあることです。娯楽が多く様々なことに目移りしたり周囲の言葉が聞こえてきやすい現代では尚の事。
 そんなときに、自分が最初に持っていた情熱は何に対してだったのか、本来好きだったのは何だったのか、ということを考え直すことが必要であり、それが自分にとっての宝探しということなのだと感じました。
 また楽しさを忘れてしまっていた時間についても、自分にとっての宝物を一度手放して見失ってしまったからこそ、あらためて見つけたときによりいっそう輝いて見えるのであり、その時間も決して無意味ではないということも響きました。今となっては無意味に思える時間も当時の自分にとっては価値ある時間だったのかもしれないし、同じ自分とはいえ今と昔では価値観も異なり、だったら"今の自分"が楽しいと思えることをあらためて探して取り組もうという前向きな気持ちが大事なのかもしれません。 

時の渦の時間軸について

 時の渦がどのような世界だったのか。自己満足の部類ですがちょっと気になるので考えてみたいと思います。
 作中では、「流れる川の途中にある岩の側で渦巻いている葉っぱ」みたいな表現がされていたと思います(正確な表現は忘れました・・・)。
・時の渦では世界全体がループしている。
・ループに自覚があるのはルーパーズの8人。
・稀に時の渦の外から人が入り込んでくることがある。(すなわちルーパーズになる)
・時の渦からゲートを潜り抜けることで元の世界に戻ることができる。
・時の渦の創造主(?)であるミアが存在を否定したことで崩壊が始まった(?)
・タイラたちが元の世界に戻った後にミアの魂が時の渦に取り残されたことで元の世界のミアの容態にも変化が生じた(?)

 気になるのは一番最後のミアの魂が時の渦に残ってから現実世界のミアにも影響が現れたこと。それまでは時の渦の世界は元の世界から完全に切り離された隔絶された世界で、ループしているといっても元の世界ではなく別の世界の時間を繰り返しているのかと思っていました。けれど、現実世界にも影響が出るとなると完全に切り離されているとは考えにくい。パッと思い付いたのはアクセル・ワールドのように現実世界よりも極端に時の流れが遅い世界で8/1を繰り返しているのではないかということ。ただ、あの時点ではミアの精神状態も危うくなり時の渦も崩壊が始まっていたのでイレギュラーな状態になっていただけかもしれない。

 なんにせよ言いたいのはループしていたのは8人だけではなくて、他の人も含めた世界全体で、世界そのものが別の世界だよなあってこと。ループしているのが8人だけだと8人以外の世界はそのまま明日を迎えていることになるし、次の8/1を迎えた時には前日に7/31を終えた世界と合流するのかってなると次々と8人がいない世界が生み出されていくから少し考えにくい。となると、ループものというよりは異世界ものだったのではという感想。
 あとタイラたちが帰還した後の世界は、世界そのものが独立していたのかミアが望んだ世界になっていたのかも気になる。あの世界はミアが望んで生まれたものであるならば、実質ミアが世界の神でありマスターである。ミアの告白に対するタイラの返事は元々のタイラの性格や意識の残り香なのか、単にミアがタイラにそう答えてほしいと願って言わせた言葉なのかは物語に影響はしないけど個人的に興味がある。

印象的だったシーンとか

 何かに挑戦する、足を踏み出す、歩き続けることの大事さというのも今作に込められたテーマであり、自分も感じ入ることは多々ありましたが上手く言葉にできそうにないのでそれは心の中に秘めておこうと思います。

 残りは作中で印象的だったシーンとかをIQを下げて振り返りましょうかね・・・
ミアちゃんかわいい!!!

 いや、めっちゃかわいかったですね。タイラに振り回されてゴスロリの服を着させられたり海に連れて行かれて水着姿になったりと序盤からサービスも多かったですけど、やっぱり花火が絡む2つのシーンはグッときますね。1つめの花火に負けない満開の笑顔はそれまで無愛想な表情が多かったミアの心の扉が開いたような様子が象徴的で、2つめの観覧車の中での物憂げな表情とかは絶対このまま平穏には終わらなさそうな不安を掻き立てられて。
 あと、年齢とか見た目の割にはけっこうそっちの話題にも食い付いてくるな、と。いや、全然構わないんですけどね。むしろ時の渦の中で十数年あるいはそれ以上の時を過ごしていたら精神年齢なんてとっくに成熟していますし。最後の「・・・・・・お、大人になってから捕まえたら・・・・・・ちゃ、ちゃんとわたしのログノートに、名前、記入して下さい・・・・・・」の言い回し大好きです。タイラには伝わっていないようでしたけどね。

 シーンでいうと、ミアを時の渦から救い出すためにルーパーズ全員で宝探しに取り組むところは文句なしに熱かったです。王道な展開だけど、「これこれ!こういうのでいいんだよ!」byジョウ、的な。サイモンが中心にいて放射状に各キャラのカットインが広がるCGも良かったし、そこで流れる千夜一夜VORTEXも最高でした。もちろんそこだけではなく、BGMに関しては流石Key作品で、シリアス・ギャグ・エキサイティングな各場面で見事に雰囲気を盛り上げる音楽は素晴らしかったです。

 最後のタイラとミアのお互いの想いをぶつけあうシーンはまさにKey作品でした。

 最後にあらためて。プレイ時間は8時間と短かったとはいえ、確実に心に残る感動した作品でした。これから8/1を迎える度にこの作品を想い出すと思います。この作品に興味を持たせてくれたKSL2021ありがとう。
 これからも自分が本当に楽しいと思えることをずっと探し続けていきたいです。